健康診断で
「γ-GTPが少し高いですね」
と言われて、ドキッとした経験はありませんか?
γ-GTPが高い=すぐに重い病気、というわけではありません
γ-GTP(ガンマ・ジーティーピー)は、肝臓や胆道の状態を反映する代表的な検査項目です
結論から言うと、γ-GTPが高くなる原因は「アルコール多飲」か「脂肪肝」の場合が多いです
まずは落ち着いて、
「なぜ上がっているのか」を分析・整理することが大切です
γ-GTPが高い主な原因
多くは「お酒」か「脂肪肝」
健康診断でγ-GTP上昇の背景として、最もよく見かけるのは次の2つです。
- アルコールの飲み過ぎ
- 脂肪肝(非アルコール性・アルコール性)、肥満
特に、日常的にお酒を飲む方では、
自覚がなくてもアルコールが原因というケースが少なくありません
というか、自覚症状が出現することはほぼありません!
BMI(body mas index; [体重(kg)]÷[身長(m)の2乗])が 25以上の際は脂肪肝の可能性をまずは検討します
人間ドックなどでは受診者の約25%に脂肪肝が見つかると言われています
お酒を飲まない人の脂肪肝は、非アルコール性脂肪性肝障害(nonalcoholic fatty liver disease; NAFLD)で、日本人に推定 2000~3000万人いるとされています。このうち1-2割が重症化しやすい非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis; NASH)とされており、脂肪肝の中にも重症化する病態が潜んでいることがあります。
AST・ALTとの組み合わせで考える原因の違い
γ-GTPは単独で見るより、AST・ALTと一緒に評価することが重要です
肝細胞障害型・・・AST(GOT)、ALT(GPT)
胆汁うっ滞型・・・ALT、γ-GTP
どちらが優位に上昇しているかが参考になります
① AST・ALT・γ-GTPがそろって上昇している場合
このパターンでは、
肝細胞そのものがダメージを受けている可能性を考えます
代表的な原因は、
- アルコール性肝障害(中等度以上)
- 脂肪肝炎(NAFLD、NASHなど)
- ウイルス性肝炎
- 薬剤性肝障害
などなど多彩です
明らかに上昇しているときは、早期に医療機関の受診をお勧めします
② AST・ALTは正常で、γ-GTPだけが高い場合
この場合は、
- アルコールの影響(初期)
- 薬剤の影響
- 胆道系への軽い負担(胆石など)
などを疑います
いろいろな検査値の中で
- ALPが正常範囲内で、γ-GTPが高い
- AST > ALT
- 赤血球の大きさMCV >100fL
のときは、アルコール性をより強く疑います
「肝臓はまだ壊れていないけれど、
負担がかかり始めているサイン」
と捉えると分かりやすいでしょう
★ この段階で立ち止まれるかどうかが、とても重要です
ちなみに、「知り合いが自分よりも酒量がかなり多いのに肝臓機能に全く異常がない」ということは「自分のγ-GTP上昇がアルコール由来ではない」という根拠にはなりません
1日のアルコール換算量(飲酒量 × お酒のアルコール% × 0.8 / 100)で50g以上ならば、アルコールによるγ-GTPの上昇を考えます
ただし、人によって、肝臓機能に障害をもたらすアルコール量は大きく異なります!
女性は男性よりも少ない飲酒量で肝障害が出現することが知られています
腸内細菌と免疫系の働きの違いも関与します
遺伝子の型によっても、アルコールの代謝速度・障害の程度は変わります
👉 お酒に弱い体質と遺伝の話
薬剤性肝障害の可能性もあり
γ-GTP上昇の原因として、薬剤性肝障害も一定数存在します
原因になりやすいものとしては、
- 抗菌剤・抗生物質
- 脂質異常症の薬
- 糖尿病治療薬
- 痛み止め(NSAIDs)
- 漢方薬・サプリメント
などがあります
「お酒はほとんど飲まないのにγ-GTPが高い」
「最近、薬が増えた」
こうした場合は、
自己判断で中止せず、必ず主治医に相談してください
アルコールが原因の場合、まずやるべきこと
「少し減らす」ではなく、いったん禁酒
アルコールが原因の場合、γ-GTPは
完全に禁酒してから数週間〜2か月ほどで正常化してくることが多いです
- 飲む量を少し減らす → ❌ 効果が分かりにくい
- 休肝日を作る → △ 人による
- 一定期間の禁酒 → ◎ 原因がはっきりする
★ まずは2〜4週間の禁酒
これが、原因を見極める最も確実な方法です
アルコール性肝臓疾患とは?
脂肪肝 → 肝炎 → 肝硬変へ進行することも
長期間の大量飲酒は、肝臓にさまざまな障害を引き起こします
これらをまとめてアルコール性肝臓疾患と呼びます
① アルコール性脂肪肝
- ほとんど無症状
- 健診やエコーで偶然見つかる
- 禁酒で改善する「可逆的」な状態
「まだ大丈夫」と思われがちですが、
重要な警告サインです
② アルコール性肝炎
- 腹痛、発熱、黄疸
- 全身倦怠感
この段階では、
すでにアルコール依存症を伴う方が多いのが現実です
③ アルコール性肝硬変
- 命に直結する最終段階
アルコールは、
強い炎症を起こさずに静かに線維化を進めるという特徴があります
禁酒・断酒の効果は絶大です
アルコール性肝硬変を合併していて
- 飲酒を続けた場合:5年生存率 50%未満(胃がんよりも生命予後が悪い)
- 禁酒できた場合:予後は明らかに改善
禁酒を継続できれば、
肝硬変末期であっても、肝移植の選択肢が検討されることもあります
まとめ:γ-GTPのみが高い(軽度)と言われたら
- 原因の多くはアルコールか脂肪肝
- AST・ALTとの組み合わせで原因を考える
- 薬剤性肝障害も忘れない
- アルコールが疑われたら、まず禁酒
- 数週間の禁酒で数値が下がるかを見る
自覚症状がなくても、
肝臓の障害は静かに進行することがあります
要精査、要治療の判定、もしくは判断に迷った際は、かかりつけ医 または 肝臓内科・消化器内科への受診をご検討ください
アルコール以外の原因の検索が必要かもしれません
おわりに
お酒は人生を豊かにする一方で、
量を誤ると、気づかないうちに肝臓を追い込んでしまうことがあります
γ-GTP上昇は、肝臓からの小さなSOS
気づいたときに、
少し立ち止まってみることが、
将来の健康を大きく左右します
参考文献
江口曉子ら. アルコールと肝疾患. 日清誌 2022, 119, 23-29
横山泉. 肝臓・胆のう・すい臓の病気をよくする生活読本. 主婦と生活者 2015
上記の考え方は一つの目安です
一見大丈夫でも、放置するとよくない病態の可能性もあります
健康診断で要精査や要治療の判定を受けた方、異常値が少しでも心配な方は、かかりつけ医または肝臓内科または消化器内科などを標榜する医療機関の受診をお勧めします

心と身体の健康のために

