お酒を飲んだ翌日、だるさや疲労感が強く残ることはありませんか?
二日酔いの原因はアルコールやアセトアルデヒドだけでなく、実はビタミンB群の消費も関係しています。この記事では、アルコール代謝とビタミンB1・B3の関係、さらに「にんにく注射」が注目される理由を整理します。
ビタミンとは
ビタミン(vitamins)は、極めて微量(1日数μg~数mg)で、さまざまな栄養素(タンパク、糖質、脂質)、そしてアルコールを分解するための補助因子として働きます。具体的には、酵素や補酵素として代謝を支える重要な役割を担っています。
ヒトはビタミンを体内で合成することがほとんどできないため、体外から摂取すべき必須の栄養素です。
水溶性ビタミン(B群、Cなど)は、大量に摂取しても尿として排泄されるため健康被害は起こりにくいですが、体内に貯蔵できる量は少ないという特徴があります。
一方で脂溶性ビタミン(A、D、E、Kなど)は体内に蓄積しやすく、貯蔵量は多いものの、サプリメントなどで過剰摂取すると健康被害を生じることがあるため注意が必要です。
アルコール分解の酵素として
別の記事にも記載したように、アルコールは主に以下の流れで分解されます。
👉 お酒に強い・弱いはなぜ決まる? ~体質と遺伝子から考える飲酒反応の違い~

この過程がスムーズに進むことで、飲酒後のアルコールは体内から処理されていきます。
大量の飲酒をすると、アルコールはADH酵素だけでは処理しきれなくなります。
その結果、肝ミクロゾームに存在する非アルコール脱水素酵素系であるミクロソーム-エタノール酸化系(MEOS; microsomal ethanol-oxidizing system)により、アセトアルデヒドに代謝されます。
このMEOSが働く際に、ビタミンB1が使用されます。
さらにMEOSでは活性酸素が産生されるため、肝障害を引き起こす原因にもなります。
また、アセトアルデヒドが酢酸に分解される際には、ビタミンB3(ナイアシン)が使用されます。
つまり、アルコール代謝が増えるほど、ビタミンB1とB3が多く必要になるということになります。
ビタミン欠乏による病態
ビタミンB1欠乏
ビタミンB1欠乏になると、以下のような症状が出現します。
- 脚気(心不全、末梢神経障害、むくみ)
- 認知症(Wernicke脳症、コルサコフ症候群など)
末梢神経障害は、アルコール・アセトアルデヒドによる障害と、ビタミンB1不足による障害の両者が合併することも多く、区別することは困難です。
👉 アルコールと末梢神経障害 ― 手足のしびれの医学的背景(糖尿病・栄養障害との関係)
治療はもちろん、断酒とビタミン補充です!
ビタミンB3欠乏
ビタミンB3欠乏では、ペラグラ(病気の名前)が有名です。
皮膚、粘膜、中枢神経系、消化管の症状を特徴とします。
皮膚症状にはいくつかのタイプの病変があり、通常は両側対称性に認められます。太陽光線により皮膚炎が生じることもあります。
粘膜の症状は主に口腔に影響を及ぼし、舌炎および口内炎は急性欠乏症の特徴です。欠乏症が進行するにつれて、舌および口腔粘膜が発赤し、次いで口腔の疼痛、流涎の増加、舌の浮腫が起こります。
欠乏症の早期にみられる消化管症状には、咽頭および食道の灼熱感や腹部の不快感、膨隆などがあります。
中枢神経系症状としては、精神病症状、脳症(意識障害を特徴とする)、認知機能低下(認知症)などがあります。
にんにく注射は二日酔いに効くのか?
二日酔いの後に「にんにく注射」が良いという噂をよく聞きます。
成分は、ビタミンB1を中心としたビタミンB系と、ビタミンCを混合したものが多いようです。
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ビタミンB1は臭いが強く、内服薬(商品名:アリナミン)でも注射でも体に投与した後、体全体が妙な臭いになります。この臭いを比喩して「にんにく注射」と呼ばれています。
大量飲酒後はビタミンB系が不足しがちになるため、にんにく注射はそれなりに理にかなっていると解釈できます。
まとめ:飲酒は肝臓だけでなく「ビタミン不足」も招く
お酒を飲み過ぎると健康に悪いということは、何となく多くの人が知っています。
しかし「何がどう悪いのか」を知っていると、飲酒を控えようとする動機付けになるのではないかと思います。
アルコールは肝臓に悪い影響があるだけでなく、ビタミン不足をもたらす可能性があります。今回はその点について記載しました。
ここでは触れていませんが、人によっては亜鉛(Zn)が不足することもあります。最近飲酒の機会が増えた方で、体調が優れない方は、ビタミンなどのサプリメント摂取も良いかもしれません。
文献
松本博志. アルコールの基礎知識 Jpn J Alcohol Drug Dependence 2011,46,146-156

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