趣味の幅を広げたいと考え、料理に取り組むことにしました。
料理は単なる家事ではなく、創造性と再現性が同時に求められる行為であり、継続することで身体の健康のみならず、心の安定にも寄与すると思っています。
料理という行為
料理という行為は「自分で選び、手を動かし、結果を味わう」という一連のプロセスを含みます。この構造は、現代の心理療法で重視される“主体的行動”と一致しており、軽度の抑うつ状態に対する行動活性化の一助にもなり得ます。
心が落ち込んだときの考え方は以下に述べています
👉 落ち込んだときこそ人生の本質に触れる
古くからも、日常の営みの中に精神の安定を見出す考えは存在しており、たとえばジャン=ジャック・ルソーは、人間が自然に即した生活の中で本来の調和を取り戻すことの重要性を述べています。料理という営みもまた、その一つの実践と言えるでしょう。
さらに料理は、文化や言語を超えて共有できる「世界共通の趣味」にもなり得ます。同じ食材や調理法を通じて、人は他者と自然に繋がることができます。
ブリのソテー
今回のテーマである「ソテー(sauté)」は、フランス語の sauter(跳ぶ)に由来します。
食材をフライパンの中で跳ねるように動かしながら短時間で加熱する調理法を指し、水分を保ちながら香ばしさを引き出す点が特徴です。
名前だけでも心が躍りだしそうですね!
今回使用したブリは、日本人にとって馴染み深い魚であり、栄養学的にも優れています。
ブリにはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といったn-3系脂肪酸が豊富に含まれており、これらは動脈硬化の予防、炎症の抑制、さらには認知機能の維持にも関与するとされています。加えて、良質なタンパク質やビタミンDも含まれており、筋肉量の維持や骨代謝にも寄与します。
末梢循環の改善も期待できます。すると、国民病である高血圧の改善にもつながります。
日常診療においても、魚中心の食事は生活習慣病予防の観点から推奨されることが多く、ブリはその実践として取り入れやすい食材の一つです。
スパイスの医学的メリット
今回のレシピではカレー粉やクミンを使用しています。スパイスは単なる風味付けにとどまらず、一定の生理作用を有する点が注目されています。
例えばクミンには消化促進作用があり、食後の膨満感の軽減に寄与する可能性があります。またカレー粉に含まれるターメリック(ウコン)の主成分であるクルクミンには、抗炎症作用や抗酸化作用が報告されています。
さらに、香り成分が嗅覚を介して脳に作用し、食欲の増進や気分の改善につながる可能性も示唆されています。こうした点から、スパイスは「味覚」だけでなく「神経系」へのアプローチとしても興味深い存在です。
レシピ:スパイスをきかせたブリのソテー
参考にしたのは「志麻さんの自宅レシピ」(タサン志麻著、講談社)に掲載されている白身魚メカジキのソテーです。今回は旬の観点と入手性を考慮し、メカジキではなくブリを使用しました。
材料は3人前で、ブリ 6枚、塩・胡椒 適量、カレー粉 少々、クミンパウダー 少々、オリーブオイル 大さじ2を用います。ソースにはプチトマト 14個、赤玉ねぎ 3/4個、きゅうり 1本、カラーピーマン 1個、レモン汁 1個分、ナンプラー 25ml を使用します。
分量は厳密である必要はなく、家庭料理として無理のない範囲で調整可能です。

下準備として、ブリの両面に塩・胡椒を振り、片面にはカレー粉とクミンを加えます。ソースは細かく刻んだ野菜を混ぜ合わせ、冷蔵庫で休ませることで味がなじみます。

フライパンでブリを焼く際は、強すぎない火加減で丁寧に加熱し、表面に軽い焼き色をつけることがポイントです。

実食と考察
焼き上がった温かいブリに、冷たいソースを合わせることで、温度差と香りのコントラストが生まれます。カレーとクミンの香りに、レモンとナンプラーの酸味と旨味が加わり、非常に調和の取れた一皿となりました。

料理をしていて感じたのは、「手順に集中する時間」の心地よさです。これは日常の雑念から一時的に距離を置く作用があり、いわば簡易的なマインドフルネスのような状態とも言えます。
料理と心の健康
料理は、栄養摂取という身体的側面だけでなく、行動・感覚・達成感を伴うことで心の健康にも寄与します。仕事として作るのでなければ、周囲からの評価も気にする必要はありません。一緒に食べる家族や仲間が喜ぶ姿をみることも嬉しいです。
スパイスや食材の選択一つにも意味を見出すことができ、それ自体が生活の質を高める要素となります。特別な技術がなくとも、日々の食事を少し丁寧に扱うことで、心身の状態は確実に変化していきます。
料理という行為は、もっとも身近で、かつ再現性の高い「健康習慣」の一つと言えるかもしれません。

心と身体の健康のために

